95歳の病の母を元気にしたオリーブオイルに魅せられ、
平成17年からオリーブ栽培に取り組んだ空井和夫。
小豆島内の130aのオリーブ畑には420本のオリーブが茂り、
約4,500kgのオリーブの実が手摘みされる。
収穫後、すぐに選別され、イタリア製搾油機がうなりを上げる。
収穫の季節、鮮度第一にこだわる空井は昼夜兼行で油を搾る。
ひと月に及ぶオリーブの収穫期に品種別、収穫時期別で、
最高品質のオリーブオイルが460kg搾られる。
私が空井農園を訪ねたのは10月と11月の2回。
2回訪ねたのには理由があります。
空井さんはオリーブオイルの鮮度と品質と
収穫時期ごとの油の質にこだわっているので、
収穫時期(10月下旬から12月初め)に訪ねても、
収穫と搾油で忙しすぎて、話を聞けないからです。
先ず10月16日に訪ねて、色々なお話を伺い、
11月20日に搾油の取材をするという、
万全の体制で望んだわけです。
実はこの時点で、当社での扱いは油が
足りないから難しいと言われていました。
内心、「とりあえず、今年は自分の分の
オリーブオイルが手に入れば良いか・・・」
くらいに考えていました。
小豆島の空井さんの農園では、新漬け用の若いオリーブの実を収穫していました。 自分のところでは新漬けはしないけど、お得意様からのお願いに応じているとの事でした。 空井ご夫婦が炎天下で収穫していたのですが、驚くほど、肌艶が良い!奥様なんて、 「あら、写真を撮るの?化粧していないし…オリーブオイルしか塗ってない…」 いえいえ、化粧していなくても、十分に美しいです。(60歳代の半ばとは思えません)
ご夫婦でオリーブ栽培に取り組んだのは、平成17年の空井さんの定年からでした。 空井さんのお父上が戦前からオリーブを栽培していたので、全くの素人ではなかったにせよ、一から勉強の毎日だったそうです。 目的が定年後の健康維持と趣味だったのが功を奏したとも言えるかもしれません。 プロの農家が新しい作物を手がけると、自己流でうまく行かない事が往々にしてあるのですが、空井さんのように、脱サラや定年後にゼロから勉強して研究して、色々なコンクールにもチャレンジするような方が、意外に成功します。 空井さんが趣味と健康維持から、ここまでのオリーブオイル達人になったのには理由がありました。 それを伺い、私も一発で空井さんのオリーブオイル信者になりました。
空井さんのお母様が95歳の時、オリーブオイルの本を読んで、 その素晴らしさに感銘を受け、毎食、母親の食事にオリーブオイルをかけて食べ始めたそうです。 不幸にも、お母様は食事を喉に詰まらせ98歳でお亡くなりになりましたが、 亡くなる当日までオリーブ畑で元気に仕事をして、オリーブオイルを飲んでいました。
それをきっかけに、空井さんご本人もオリーブオイルを飲み始めました。 確かに、オリーブオイルは発祥の地であるバビロニアでは、古くから重宝され、砂漠の厳しい紫外線から肌を守るために塗られていたわけだから、それもうなずけます。
※古代バビロニアでは医者は「オイルの通人」を意味するASU(アス)と呼ばれていたそうです。
手摘み収穫を手伝いました。結構、大変です。
収穫⇒直ぐに搾油。これがポイントです。 砕かれ揉まれ遠心分離でオイルが抽出! そのまま飲みたい!
収穫後24時以内に28度前後で搾油するのが基本の空井さんは、この季節は超多忙になります。
週一回の収穫休みの翌日は搾油機を止めますが、それ以外は24時間、イタリア製の搾油機がフル稼働して、抜群の品質のオリーブオイルが生まれます。
空井さんは出来る限り、品質の良い油を搾るため、完熟よりも少し前の実を収穫します。
搾油が始まると、空井さんは搾油の合間、圃場の収穫担当に指示を出すだけで、自分は選別と搾油に専念します。搾油の結果を分析して、圃場の収穫に細かい指示をします。
収穫担当が選別するのはもちろんですが、収穫リーダーがさらに選別し、最後に空井さんも選別をします。
研究熱心な空井さんはオリーブオイルの専門家や研究者の意見を今でも真摯に受け取り、研究に余念がないです。 世界中の名だたるコンクールにも出品して、品質判断をしてもらい、結果を翌シーズンに生かしています。 世界最高レベルの品質まで達したのに、まだまだチャレンジするところが素晴らしいです。 実際、別の品種のオリーブの樹も育てていて、次のシーズンから新しいオイルが搾れるかもしれないそうです。
オリーブの樹を育てるのから、収穫・選別・搾油までを自分自身で一貫して動かし、考えて、工夫する試行錯誤の結果が「どうすれば良い油が取れるか?」空井さんはわかるようになったと言っています。
「大きい会社は役割分担しているから、どうしたら、どんな油になるか直感的にわからないんだよ!搾油機の性能ではなく、オリーブの実の品質が全てだから、圃場管理と収穫と選別と新鮮な実で搾油するのが一番の基本。」空井さん談
ミッショングリーンオリーブ
ミッション種でも緑色の実だけを収穫、搾油。この実からとれるオイルの量は熟している実の半分以下という高級品。ピリッとした辛みと若草のような香りが特徴。色は濃い緑色でポリフェノールが非常に豊富。
ミッション
青赤色の実だけを収穫、搾油。フルーティーな香りが特徴的で、苦み・辛み・まろみのバランスに優れたコクのある味わいです。緑がかった黄金色が美しいオイル。
ルッカ
フルーティーな香りとかすかにピリッと感じる刺激が特徴で、後味はさっぱりとしている。透明感のある黄緑色をしたオイル。
フラントイオ
イタリアをはじめ世界中に普及しているメジャーな早生種でポリフェノール類、クロロフィルが豊富に含まれています。 心地よい爽やかな香りと程よい苦味・辛味を持ち併せた透明感のある綺麗なオイルです。
セントキャサリン
若草のようなフレッシュな香り、強めの辛みと程よい苦味が感じられるオイルです。葉緑素を多く含んだ、濃緑色のエメラルドグリーンが特徴で食材とあわせる場合は、肉料理がおすすめです。
コロネイキ
心地よい香り・辛味・苦味が調和したクセがない高品質なオイルが搾れるギリシャ原産の品種です。果実が小粒で生産量が非常に少ないため、高級オイル抽出品種として高値が付けられています。
コレッジョラ
イタリア原産の晩生種です。イタリア中部・トスカーナの寒い地域で栽培されてきた品種のため、耐寒性があり樹勢も強いですが実が小粒のためオイルは希少性が高いです。トコフェロール(ビタミンE)が豊富に含まれ繊細な味わいです。コクがあるフルーティな味わいが特徴です。
アルベキナ
世界でもあまり自生していないスペイン原産の早生種。実が小梅のような大きさで、手間が掛かるにも関わらず生産量が少ない高級品種でもあります。 最初はリンゴのような香りがして、若いアーモンドのような後味がする独特の美味しさです。オイルは濃密で非常になめらかです。
2014年 香川県オリーブ品評会 オリーブオイル部門:金賞受賞
2013年 香川県オリーブ品評会 オリーブオイル部門:小豆島町長賞受賞
2012・2013・2014・2015年 オリーブジャパン・インターナショナル
エクストラバージンオリーブオイルコンテスト:金賞受賞
2014年 ロサンゼルス・インターナショナル
エクストラバージンオリーブオイルコンテスト:銅賞受賞
2012年・2013年 ロサンゼルス・インターナショナル
エクストラバージンオリーブオイルコンテスト:銀賞受賞
2013年・2014年 イタリア・フロスオレイ オイルコンテスト:入賞
2016年 ロサンゼルス・インターナショナル エキストラバージンオリーブオイルコンテスト:金賞受賞(ミッション種)、銅賞受賞(ルッカ種)