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新潟の黒崎茶豆や群馬の天狗印枝豆、山形の鶴岡だだちゃ豆、美味な枝豆はありますが、丹波篠山の黒豆の枝豆は別格です。最高級黒豆 丹波黒 その最高級黒豆を未熟な時に食す。何とも贅沢な美味です。
食の都 丹波篠山にも押し寄せる、農家の高齢化と耕作放棄の波
丹波篠山と言えば、恵まれた自然環境のもと、丹波栗、松茸、山の芋、米、黒豆、猪など、数多くの山の美味の宝庫です。 そんな食の都でも農業の崩壊が進み、あちこちで膨大な面積の耕作放棄地が生まれています。
立ちあがった二人の男 アグリ小多田の小島琢彌とノオトの金野幸雄
篠山市農業生産組合協議会顧問で、前農業生産組合協議会会長の小島琢彌氏は篠山の農業の生き字引的存在で、『集落の農地は集落で守ろう』を基本理念に据え、アグリ小多田を設立し、耕作放棄地を借り上げ、米や黒大豆を生産しています。
一般財団法人のノオトは、篠山市の前副市長の金野幸雄氏が第三セクターを改革して立ち上げた、篠山の街や里山を再生し、地域資源を再発見・再構築することをミッションにすえている組織です。
ノオトは書きとめるNOTEであり、農都でもあるようです。( http://plus-note.jp )
この二つの組織と当社のコラボレーションで、今回の丹波篠山の黒枝豆の企画が実現しました。
小島さんが耕作放棄地を借りて丹波篠山の黒豆を育て、ノオトの若者たちが栽培と収穫を手伝い、選別とパッケージを神戸大学農学部の若者たちが手伝い、ようやく、商品化が可能になりました。
まさに、新しい農業振興のモデルと言っても過言ではないです。
農業の産地価値は実現できても、流通段階の小分けやパッケージや配送業務ができなければ、消費者価値としては実現できません。そこが、高齢化した日本の農業の深刻な問題でもあります。小島さんと金野さんはそうした問題に正面から取り組み、具体的かつ現実的な解決策に取り組んでいます。
篠山に広がる小島さんが育てる丹波黒豆の畑
まだ、収穫までひと月以上ある圃場を訪ねましたが、子供の背丈ほどに成長した黒豆の畑はバッタや蛙の独壇場でした。
『枝豆はそのまま口に入れるもんだから、ある程度に成長してからは、農薬は使わない』小島琢彌氏 談
とても毛深いので、虫がつきにくく、雨露も弾くので病気になりにくく、農薬の使用量を落としでも、丹波篠山の黒豆は育つのです。
丹波篠山の黒枝豆は、『うぶな味』ではなく『熟れた味』が魅力
新潟県民なら枝豆は未熟な『うぶな豆』が好きです。確かに茶豆や青豆の枝豆は、野菜的魅力が色濃い状態がうまいと思います。当然、サヤは緑で茹でれば、さわやかな香りと緑が映えています。そんな若い枝豆を次から次へと食しつつ、ビールを『ゴクッ』というのは、確かに定番だと思います。
ところが、篠山の黒枝豆はうぶな段階では魅力を発揮しません。
『見た目ではなく味で勝負!』 小売で1kg 4・5千円しても不思議でない丹波の黒大豆の枝豆です。やはり、黒豆の魅力が備わるまで、じっと待つ必要があります。
毛深いサヤに茶色のあばたが増えてきて、はじめて『熟れた魅力』が堪能できます!
見た目を重視する量販店の店頭では、『この枝豆、古くて傷んでいる!』と思われるので、売りにくいのが、この篠山の黒枝豆です。毛深いあばただらけのサヤをむけば、中の薄皮は既に紫色を帯びています。
薄皮の中の豆の緑も薄くなり、少し黄色くなりはじめれば、食べ頃です。
枝豆の魅力に栗的なほっくり味が加わり、一般的な枝豆の概念を少し逸脱していると言っても過言ではないです。例えば、短時間の下ゆで後、炭火で炙って食せば、『これが枝豆?』と思うくらい、うまみ濃厚でほくほくの美味です。
何と言うか、瑞々しい若い娘的魅力ではなく、奥が深い情を感じる味です。
『熟れた美味、情が厚い美味』これが、丹波篠山の黒枝豆のキーワードです。
お日様の恵みを蓄えた黒枝豆!
枝豆を美味しく食べるにはポイントがあります
塩もみをして10分ほどおきます
枝豆をもみ洗いしてから、塩をたっぷり振り、揉んでしばらくおきます。毛深い黒豆の毛を取るだけでなく、色をよく仕上げ、味を締める効果もあります。
2説ありますが、私は鞘の付け根を切ります
鞘の付け根を切るか否か?これは意見が分かれるようですが、私は早く茹だるのと、塩気のしみ具合を考え、面倒ですが、必ず付け根を切ります。また、食べる時も鞘から豆が出やすいです。切ると風味が逃げるという人もいます。
最大のポイントは たっぷりのお湯 と たっぷりの塩
500gの枝豆を茹でるのであれば、最低3リットルの水と150gの塩は使いたいです。たっぷりのお湯に枝豆を投入し、短時間で再沸騰させ、短時間で茹で上げることが重要です。
鍋が小さくいようであれば、面倒でも、何度かに分けて茹でるのが良いです。茹でる時は普通の塩(※精製塩はNG)で良いですが、仕上げの振り塩はちょっと良い塩を使いたいです。
あくを徹底的に取ります
豆を入れて再沸騰すると、あくが出てきます。これをきっちりと取り、豆の上下を入れ替えながら、均等に茹で上げます。
もし、鞘によって豆の実入りに、大きな差が有る時は、大雑把で良いので、実入りの良いものとそうでないものを分けて、時間差で投入するくらい気を使うと完璧です。
鞘の口が開いた豆が出たら試食
茹で時間はタイマーが決めるのではなく、必ず、食べて決めます。
ほんの少し青臭いかな?くらいで火を止めます。収穫開始時期の若い枝豆の場合、茹で時間は短くなり、終盤に向かい、豆の熟し加減が進むと、茹で時間は長めになります。目安としては12分が茹で時間です。
ざるに上げ、湯きりをしたら鍋に戻し、美味しい塩を振り、鍋を振る
丹波黒豆の枝豆は超大粒なので、塩は多いくらいでも大丈夫です。よく塩がなじんだら、再度、ザルなどに広げ、扇風機や団扇で風を当て、短時間で冷まして完成です。
超大粒でうっすらと黒味を帯びた丹波黒豆の枝豆。香りと甘さは、極上の茶豆系のような強烈さはないですが、うまみと甘みのバランス、食感。素晴らしいです。
たっぷりのお湯に入れた黒枝豆 あくは丁寧に掬うべし!
冷蔵庫で保管すると5日間くらいは美味
密封できる容器に入れ、食べる分だけを冷蔵庫から出すようにすれば、5日間は間違いなく美味です。水分が少しずつ飛び、茹でた豆も熟成して、塩がなれてくるので、時間が経ったものは経ったなりに美味です。冷えた枝豆には冷えた魅力があります。
丹波篠山の黒枝豆はもちろんビールの友ですが、うまい日本酒の相方をつとめるだけの実力があります。旬に食す伝統野菜の力 毎年食べたくさせる魅力があります。
(文・株式会社 食文化 代表取締役社長 萩原章史)