栗のような濃厚な甘み、ホクホクの食感、深いコク
栗マロンかぼちゃ
「電子レンジで蒸すだけで、 栗マロンかぼちゃの旨さは十分わかるはずです」
「電子レンジで蒸すだけで、栗マロンかぼちゃの旨さは十分わかるはずです」と生産者から聞き、まずは試してみました。
わたに近い中心部はねっとりと甘く、皮に近づくにつれてホクホクの食感に。
栗のようなホクホク感と上品な甘さ、濃厚でありながら飽きのこない味わいが、栗マロンかぼちゃの魅力。
そんな「一度食べたら忘れられない、記憶に残る味」をお届けするために、生産から流通まで、徹底したこだわりが貫かれています。
高い栽培技術と情熱を兼ね備えた契約農家が栽培
栗マロンかぼちゃの種は、みやこ系の南瓜にまさかり南瓜などを交配した特殊なもの。一般的なかぼちゃの収量は一反(990㎡)あたり約2トンですが、栗マロンは約1トン。
収量が少ないうえ、栽培が非常に難しく、手間もかかる「農家泣かせ」の品種。けれども、うまく育てることができれば、ほかのどんなかぼちゃにもないおいしさを生み出すことができます。
栗マロンの生産農家は、努力と苦労を惜しまない、腕に自信のある人ばかり。 現在、北海道と九州の一部地域で、約80戸の契約農家が栗マロン栽培に取り組んでいます。
土づくりから栽培方法まで,独自のノウハウを確立
栗マロンかぼちゃには「大玉が作りにくい」という品種の特性があります。
これをカバーするために、生産農家は約20年かけて栽培技術を磨いてきました。まず重要なのは、土づくり。
有機肥料を主体とした施肥設計を綿密に練り、栄養豊かな力強い土壌を育てます。
一般のかぼちゃ栽培では種を畑に直播きしますが、栗マロンは苗床である程度成長させてから畑に植えることで、成長過程を適切に管理。そして、通常は1本のツルに6〜10個の花が咲きますが、高級メロンの栽培と同じように、花を間引いて1つだけにし、1つの実に栄養が集中するように育てます。
これにより、大玉で、身の詰まったかぼちゃが育ちます。同サイズの一般のかぼちゃと比べ、栗マロンは2割ほど重いそうです。ずっしりと重いのは、それだけ栄養が詰まっている証拠なのです。
収穫時を見極め、輸送時の温度管理にまで気を遣う
かぼちゃの実に栄養が行き渡り、ほどよく熟したときに収穫しなければいけません。生産者は畑のかぼちゃを1つひとつチェックし、「コルク」と呼ばれる実と茎の接合部の乾燥具合いから収穫時を見極めて収穫します。収穫後のかぼちゃは、風通しのよい日陰で10日間ほど乾燥させます。
この「風乾」を行うことで、コルクからかぼちゃ内部の水分が蒸発し、かぼちゃ自体が持っている熱が冷まされて、味や品質が安定します。
この時点で最高の栗マロンが出来上がっていますが、まだこの状態でもお客様にお届けできません。かぼちゃは時間の経過と共に「デンプン質」が「糖」に変わります。これを「追熟」と言います。産地から一旦、弊社の倉庫で、2週間寝かせ、追熟させてからお客様にお届けします。
その後、いよいよ出荷を迎えますが、かぼちゃは高温が大敵で、16度前後が最適な保存環境。そのため、産地から輸送するコンテナ内にドライアイスを積み、到着後は冷蔵倉庫に移して12〜16度で保管。
お客様へのお届けも冷蔵で配送し、最後まで徹底した温度管理を行っています。
「味が劣るものは売らない」プライド
精魂こめて作られる栗マロンかぼちゃですが、そのすべてが「栗マロン」の名で世に出るわけではありません。
地域ごとの生産者グループ(栗マロン研究会)が品評会を行い、ブランドの名に恥じない味と品質のかぼちゃだけが、栗マロンかぼちゃを名乗ることが許されます。
天候が悪い年は、収穫量の5割が落とされてしまうこともあるほど、その基準は厳しいものです。「落第」したかぼちゃはノーブランドのかぼちゃとして出回ります。
味と品質を厳しく追求する姿勢が評価され、栗マロンかぼちゃは近年、「高級ブランド野菜」として注目が高まっています。
東京や神戸の有名百貨店でも販売され、一般的な国産かぼちゃの3〜5倍の高価格にも関わらず、即日完売するほどの人気に。 着実にファンが増え続けています。
「甘さ」と「ホクホク感」が両立する奇跡
栗マロンかぼちゃのおいしさの秘密は、甘さとホクホク感が両立していること。
一般に「甘いかぼちゃがおいしい」と思われがちですが、保存の期間を延ばして追熟させれば、どんなかぼちゃもある程度は甘くなります。
時間とともにデンプンが「糖化」するからです。デンプンはホクホクとした食感をもたらす成分ですが、時間がたつとデンプンが分解されて糖と水に代わります。
これが「糖化」で、追熟して糖化が進んだカボチャは「甘いけれどベチャベチャ」という味になりがちなのです。
ところが、栗マロンかぼちゃは、もともとの品種の特性に加え、特殊な生産方法で栽培することで、一般的なかぼちゃに比べてデンプン含有量がきわめて高くなっています。
熟度が増してもデンプンが糖に変わりきらずに残るため、「甘く、かつホクホクの食感」が実現し、この2つがバランスよく重なることで、味にコクが生まれるのです。
栗マロンの3 番目の「美味しいのポイント」が「コク」です。この2つがバランス良く、重なることで3番目の「コク」が生まれます。「美味しい」には、ただ、甘いだけではなく、ただ、ホクホクなだけでは物足りなさを感じます。栗マロンもただ、甘いだけではなく、「甘さ」「ホクホクの食感」「記憶に残るコク」が複雑に絡み合い三味一体となることで「美味しい」と思えるのだと思います。
栗マロンかぼちゃの旬は、6月〜11月下旬。6月〜7月下旬までは九州産、そして8月からは北海道産の栗マロンかぼちゃの出荷が始まります。
暑い時期は口の中でホロホロとほぐれるようなホクホク感がいっそう際立ち、秋が深まるとともに甘さがより強くなってきます。
ご家庭で追熟させ、自分好みの味を見つけるのも、栗マロンかぼちゃの楽しみ方のひとつ。追熟度合いは、かぼちゃを切ったときの断面の色でわかります。
鮮やかな黄色のときは、デンプン質が多く、とてもホクホクな状態。甘さは控えめで上品な味です。 黄土色〜橙色になるにつれて糖化が進み、甘みが強くなっていきます。
栗マロンかぼちゃのおいしさを堪能するには、シンプルな調理が最適。
厚めの櫛型に切って電子レンジで4〜5分蒸したり、薄めにスライスしてオーブンやフライパンでカリッと焼いたり。
蒸したかぼちゃをペースト状につぶせば、かぼちゃプリンやパンプキンパイなど、極上スイーツが簡単に作れます。
素材そのものに力強い味があるので、塩や砂糖、醤油などの調味料は極力控えめにするのがコツ。「甘さ」「ホクホク感」「深いコク」が並び立つ"奇跡の味"を、お楽しみください。