日本野菜ソムリエ協会の第1回
全国桃選手権で最高金賞を受賞
岡山県赤磐市 黒崎充さんの桃
専業桃農家として3代目。昭和50年生まれの黒崎充さんは、2005年に就農しました。農家としては若いですが、十分すぎるほどの経験があり、腕は申し分ありません。
基本的な栽培方法はお父様から引き継ぎましたが、若くして園地を引き継ぎ、そこから先は完全に一人で、試行錯誤して栽培方法を確立しました。
2022年 日本野菜ソムリエ協会が主催する 第1回 全国桃選手権に出品した“白鳳”で最高金賞を受賞します。
美味しさを求めた“小玉桃”
小さくても大人気です。
2024年5月29日に園地を取材しました。収穫まで約一週間ほど前の桃です。
黒崎さんの桃栽培で特徴的なところは、あえて小玉を目指していること。小玉を目指すと結果として核割れ(種が割れる)が防げるという考え方です。
特に早生と呼ばれる早い時期に出る6月の桃は、果汁が多いけれども小玉サイズで糖度は低い桃。最盛期の7月以降の桃品種と比べると味の面でも、見た目の面でもかないません。
大玉に仕上げたほうが一般的には高い価格で販売できるので、狙って小玉を作る人はほとんどいません。
黒崎さんは、その小玉桃をひときわ小さく作りますが、大人気なのです。
写真は6月上旬の桃ですが、ぱっと見が”特大の梅”かと見間違えるほど。しかし、地元の直売所のほかギフトとしてもリピートが絶えません。
6月上旬の糖度が実測で13度超
※個体差があります。糖度保証ではありません
黒崎さんは、あえて小玉にするために1本の木に通常より多く実をならせます。 桃は、養分過多になると核割れするので、栄養を分散して割れないようにつくるためです。 また、核割れ果は、雨や風ですぐ落ちるので、多くの生産者は未熟果でも早めに収穫して出荷しますが、黒崎さんはそのまま木にならせて放置します。落果しても問題ないという考えなのです。
美味しい桃を作るために、あえて小玉をつくり、本来なら安いながらも出荷できる核割れ桃をあえて無視する。普通はそんなことは出来ません。
取材の一週間後に黒崎さんから送られてきた桃は、数玉を糖度を計測して糖度12〜14度程度と全て高い糖度でした。
6月の上旬でこの糖度が出るのですから、最盛期の7月以降の桃はどれほどおいしいのか楽しみです。
糖度を高めるための剪定技術。
さらに”完熟収穫”します。
写真のように、一本一本の木の間隔を広く取ることで、まんべんなく葉と果実に日光があたります。また、根元まで日光が入るように仕立てているので下のほうでも甘い桃ができます。枝・葉を少なくするように、剪定しているのです。可能な限り自然に近い栽培を心掛け、雑草はあえて残します。雑草が園地にある事で水持ちがよくなり、さらに地温の上昇を防ぎます。果樹の生命線である根が傷むことなく、健全な木が育成されるのです。
完熟栽培を行い、糖度が高い桃に仕上げることが最大のポイント。
収穫の直前は、毎日桃の試食をすることで、完熟したことを確認しているので確実に美味しい桃になります。追熟の必要はほとんどなく、到着後は香りが良く柔らかいものから順番にお楽しみください。