Jam工房Eiko
Jam工房Eiko
濃密な甘酸っぱさで
魅了する野菜ジャム
大庭英子さんの
赤いルバーブのジャム
ジャムをつくり続けて30年余。料理研究家歴40年の大庭英子さんが自ら厨房でつくるジャムをお届けします。野菜のジャムはこれが唯一です。
真紅色が目を惹きます。
赤いルバーブでつくるジャムは、鮮やかなルビー色に輝いています。酸味の強い野菜ならではの濃密な甘酸っぱさが魅力です。
「赤いルバーブは、独特な香りと酸味のあるベリーのような味が特徴で、ジャムにするとその個性が生き生きとしてきます。野菜のジャムは、これまでカボチャ、ニンジン、ナスなどでもつくってきましたが、今は赤いルバーブだけ。野菜では群を抜いておいしいジャムだと思っています」と、大庭英子さんは語ります。
これが赤いルバーブです。
大庭英子さんが仕入れるのは、信州八ヶ岳南山麓にある富士見町ルバーブ生産組合の赤いルバーブです。富士見町は標高1000mの高原にある町で、その赤いルバーブは冷涼な気候により、香りと風味が良く、酸味も鮮烈。色も鮮やかでジャムには最適だそうです。
ルバーブはシベリア原産のタデ科の植物です。なかでも赤いルバーブは、高原地帯でないと栽培ができないため希少です。葉はシュウ酸が含まれているため、茎を食用として使用します。繊維が多く、ビタミンCやカリウムが豊富。何よりもこの色が示す通り、アントシアニンもたっぷりの嬉しい野菜です。
ヨーロッパではイギリスを中心に18世紀頃からジャム、タルト、パイなどで親しまれてきました。
甘酸っぱさがスコーンに合います。
イギリスのティータイムのスコーンには赤いルバーブのジャムが定番です。甘酸っぱいジャムが焼き菓子によく合います。
ワインの供にもおすすめです。
個性豊かな味わいの赤いルバーブのジャムは、ブルーチーズとの相性も抜群です。たとえば、世界三大ブルーチーズの一つ、イギリスの「スティルトン」とルバーブのジャムでクラッカーカナッペにすると、素敵なワインの供になります。さらに力強い純米酒にも合うから驚きです。ぜひお試しください。
赤いルバーブのジャムの
魅力に迫ります。
ルバーブをカットします。
ルバーブを1cm幅でカットします。酸が強いので包丁はステンレス製を使います。
グラニュー糖をまぶします。
ルバーブに対して、重量で5〜6割のグラニュー糖を混ぜます。
水を加えずに煮ます。
砂糖をまぶしてから5〜6時間置きます。ルバーブのエキスを含んだ水分が出てきます。水を一切加えることなく、20年来愛用してきた銅鍋で煮ます。
アクを丁寧に除きます。
強火で水分を飛ばしたら、アクを丁寧に取り除きながら煮ます。
約12〜15分煮ます。
ルバーブはすぐに柔らかくなるため、ほかのジャムに比べて煮る時間は短めです。
とろみが出てきました。
ルバーブ独特の甘酸っぱい香りが広がります。とろみと艶が出てきたら煮上がりです。ルバーブの質感を残すのが大庭英子さん流です。
熱いうちに瓶に詰めます。
煮沸した瓶に、出来たて熱々のジャムを詰めます。脱気のため、ジャムが入った瓶を熱湯で10分ほど湯煎にして完成です。
1瓶300g入りです。
原料は赤いルバーブとグラニュー糖だけです。水も加えないので、ルバーブの色と共に風味もそのまま凝縮されています。ルバーブ4kgからできるジャムは約9本分です。ひと瓶につき、たっぷり300gも入っています。大庭英子さんのジャムは美しさも特徴です。美しさを保つには冷蔵保存がおすすめです。日持ちは約1年ありますが、常温だと、どうしも色が落ちてくるそうです。
希少な正統派ジャムです。
大庭英子さんのジャムは、いわゆる甘さ控えめのジャムではありません。「ジャムは、しっかりと甘くすることで自然なとろみが出ます。そして凝縮感のある濃厚な香りと味わいになります。これがジャムのおいしさです」と、大庭英子さんは力強く語ります。まさに本物。今や希少な正統派のジャムです。6月はこの赤いルバーブと西表島ピーチパインです。現状、当サイトの通販のみで販売しております。
文・林麻実
撮影・天方晴子