青森県・奥津軽いのしし牧場
約2年の歳月をかけて育てた
上質な いのししの肉
臭みは一切なく、旨みがストレートに伝わり、
くちどけのよい脂身と、きめが細かく柔らかい肉質が楽しめます。
奥津軽いのしし牧場は、津軽半島北端にある今別町で全国的にも珍しい、いのししの飼育をしています。いのししの肉は狩猟による天然のものが一般的ではありますが、飼育することで肉の品質が安定し、食べる餌にこだわることでくせのない上質な味わいを楽しむことができます。
脂身を楽しむ いのししのバラ肉
豚肉だと食べるのに抵抗がある脂身も、いのししでは赤身に対し白身と呼ばれるほど価値があります。これでもかというくらい分厚く見えますが、旨みと甘味がありしつこくありません。豚や牛など他の肉と異なり、煮込むほど柔らかくなり美味しくなります。 お好みの厚さにスライスして牡丹鍋にしてもいいですし、ブロックごと煮込んで角煮でも楽しめます。
「飼育」だからこそ安心して楽しめる内臓
狩猟のいのししは、寄生虫や菌の恐れから内臓をほとんど食べません。奥津軽いのしし牧場では、与える餌を厳選し、菌検査に通ったものを出荷しているので安心して内臓も楽しむことができます。
屠殺後、すぐさま菌検査に回します。検査終了後、時間を空けずにきれいに処理をして冷凍します。鮮度のいいうちに処理をして出荷するので、嫌な臭みは一切ありません。もつ煮や火鍋でお楽しみください。
希少部位 タンやハツも楽しめます。
1頭から1本(個)だけの希少部位です。大きさや見た目は豚のタンやハツと同様です。新鮮なうちに冷凍保存しているので、嫌な臭みがなく焼肉がおすすめです。
「いのしし肉を全国に広めたい」熱い想い
奥津軽いのしし牧場の依田啓夢さんは、山梨県笛吹市出身。青森県内の大学へ進学し、北海道新幹線開通で奥津軽いまべつ駅が開設された町の振興についてゼミで組織論を研究しました。この時に前経営者に出会ったことがきっかけとなりいのししの飼育に携わるようになりました。
大学卒業後にアルバイトとして牧場で働き始め、約1年後には前経営者が高齢のため、経営を継承。
その後、繁殖と肥育両方を手掛け、経営継承時には約30頭でしたが、現在は90頭と3倍も規模を大きくさせました。
いのしし肉の美味しさに魅了させられた依田さんは、自然界のいのししとは異なり、安心安全かつ味も安定する、飼育のいのしし肉を流通させたいという熱意をもって奥様の絵里さんと共に育てています。
安心・安全は食べる餌から
いのししは雑食のためなんでも食べますが、奥津軽いのしし牧場では健康を第一に考え、100%植物性のブレンド飼料や農家から直接仕入れる県内産りんご等の餌で育てています。抗生物質やホルモン剤は一切使っていません。
通常、豚は生後6か月ごろから出荷が始まりますが、上質な肉のいのししは出荷までになんと2年もの歳月がかかります。肥育の日数が長ければ長いほど餌のコストはかかりますが、上質な肉質に仕上げようと餌は妥協しません。
文:大村 花恵(食文化)
撮影:八木澤 芳彦