比類なき美味!この言葉が相応しい食材
特におとなの男には堪らない、
妖しい魅力の塊
薬膳の基本的な考えの
『類似補類』 なのかもしれない
天界の神饌か、はたまた魔界の秘薬か?
これを口に入れた瞬間!
パンドラの箱が開く
美味求真の世界
鼈か虎河豚か
大正時代の木下謙次郎の名著 『美味求真』。政治家として活躍する一方で、現代では味わえない古今東西のマニアックな食の世界を語った稀代の食通が、著書の中で安心院の鼈(すっぽん)に次いで称賛した食材こそ虎河豚。
特に豊後姫島産の虎河豚を一押しとしている。「一度、この味を解したら、何人も河豚の捕虜となる・・」。猛毒の河豚の捕虜となるとは実に恐ろしい。
天然トラフグのオス(比率は水揚げの約5割)、それも1〜3月の白子充実期のみ
4〜6月がトラフグの産卵期。よって、3月まで良質な白子が入っている。
天然虎河豚の白子は驚異的にクリーミーで濃厚!食せば、舌と上顎にまとわりつき、口の中を十数秒間は白子一色に染める力がある。
白子は天然虎河豚のちり鍋で圧巻の存在感を示すが、塩をふり炭火で焼くのが一番!茶碗蒸し、天婦羅もうまい。軽く茹でて切り分け、アルミホイルに広げてオーブントースターで焼けば、料理の腕は関係なく美味だ。白子酒は危険と言っても過言ではない。
中国ではフグの白子を西施乳(春秋時代の絶世の美女の乳房の意)と呼ぶ。科学的な裏付けがなくとも、命がけで食べたいものだったのだろう。
天然と養殖で
白子の味も香も舌触りも違う
天然と養殖では餌が違う。養殖ものは養殖場で違いはあるが、基本的には養殖用の餌を与える。それに対して、自然界のトラフグはヒトデや貝や甲殻類を主に食べている。毒性のあるヒトデや貝や甲殻類を食べることで、青酸カリの約850倍の毒性があるテトロドトキシンを体内にため込む。
上質な天然トラフグは釣り漁で水揚げされ、生きたまま競りにかかり、生きたまま流通する。潮流が激しく、水深が深い海域では、身が引き締まり、素晴らしい筋肉をもつ。甲殻類に恵まれる海域では、さらにうまみがのる。
上質な天然トラフグは養殖トラフグの4〜6倍の相場が一般的だから、市中の殆どのトラフグ料理は養殖物。食べ比べたら明らかに違う。天然ものは身も皮も白子も、食感・香り・味が別物と思うほど違う。最高等級の天然ものとなれば、その味は唸るレベル。特に白子は最後の晩餐にしたいと思うほど美味だ。
食文化 代表 萩原章史
萩原章史
1962年1月23日静岡県島田市生まれ。大学卒業後、大手ゼネコンに勤務。中国・アメリカなどを中心に13年を海外で暮らす。2001年、株式会社 食文化を起業。
食のちからで日本人を元気にすることをミッションに掲げ、こだわりのグルメサイト「うまいもんドットコム」「豊洲市場ドットコム」を開設。