肉でもなく内臓でもない
黒毛和牛のタンはタン
タンは前後左右に動かせる唯一の筋肉
故に、タンにはタン特有の
味と食感がある
理由は筋肉の組成が
他の筋肉と大きく違うからだ
中でも上質な黒毛和牛のタンは
格別にうまい!
タンは一頭に一本の美味な肉塊
肉の部位別で味や香りや食感が違うのは、その部位の役割が違うからだ。
中でもハツとタンとテールの3つの筋肉は、様々な哺乳類に共通した特有の味と香と食感がある。何故なら、心筋と舌筋と尾筋には、他の筋肉と明らかに違う運動能力があるからだ。
舌のほとんどは筋肉
舌は特別な筋肉
舌は舌の形を変える内舌筋と、舌の位置を動かす外舌筋に分かれる。外舌筋は舌の軟骨と下顎の骨と繋がっているが、内舌筋はどこにも繋がっていないから、前後左右に動かせ、丸めたり伸ばしたりもできる唯一の筋肉。
筋肉の素性が特殊であるが故に、他の肉の部位と一線を画すのは当然だ。タンはタンでしかなく、他の部位とは違う。
焼く・刺身・煮る・しゃぶしゃぶ。塊・薄切り・厚切り。
どんな料理でも魅力を発揮
牛タンは大きいから、1本のタンでも部位別に様々な料理ができる。焼く場合、皮に近い固い部分や先の部分は串かスライス、脂がのった真ん中は厚切りでステーキが断然うまい。
煮る場合、和洋中、どんなジャンルでも素晴らしくなるのがタンの凄いところ。
タンの持つ強い個性は料理で消えないから、結果として、個性が生きたタン料理に仕上がる。煮崩れない強靭な筋肉は簡単には料理に負けない!
牛タンは血統が違えば
風味が違う!
黒毛和牛、あか牛、短角牛など、様々な血統で牛タンの味は違う。基本的に筋肉と脂の味だから、肉がうまいブランド牛はタンも美味になる。但し、多くの黒毛和牛のブランド名は内臓肉では名乗れないから、ブランド牛を名乗るタンは少ない。
牛タン食文化の歴史は浅い
日本の牛タン食文化は歴史が浅い。GHQが大量の牛肉を駐留兵のために輸入し、彼らが食べない内臓(タンも内臓に分類)が日本人の胃袋に入ったのが始まりとされる(諸説あり)。
食文化の起源は偶然が多い。牛タンが日本の食文化に定着したのは嬉しい偶然。
戦後間もない1946年に誕生した焼肉屋の元祖の一つ、名月館の出身者がタン塩を生んだとされる。戦後のどさくさ期!女子が連れ立って行くような焼肉屋はなく、脂ぎった生命力があふれる場が牛の内臓食の舞台。牛タンの姿はグロテスクだが、食べたら非常にうまい!不思議な魅力だ。
食文化 代表 萩原章史
萩原章史
1962年1月23日静岡県島田市生まれ。大学卒業後、大手ゼネコンに勤務。 中国・アメリカなどを中心に13年を海外で暮らす。2001年、株式会社 食文化を起業。
食のちからで日本人を元気にすることをミッションに掲げ、 こだわりのグルメサイト「うまいもんドットコム」「豊洲市場ドットコム」を開設。