アイゴ・クロダイ・メジナ
藻を食べる魚の
西京漬と塩麹漬
未利用魚をおいしく食べて
豊かな漁場を未来に引き継ぐ
ブルーカーボンプロジェクト
ブルーカーボンは
新しい二酸化炭素
吸収源として
注目されている
新しい二酸化炭素吸収源として「ブルーカーボン」が注目されていことをご存じでしょうか?2009年に国連環境計画(UNEP)によって、海洋生態系に取り込まれた炭素が「ブルーカーボン」と命名され、地球温暖化対策として注目が高まっています。
海藻(草)は海の中で
重要な役割を果たしている
ブルーカーボンには海草(うみくさ)藻場・海藻(うみも)藻場・湿地/干潟・マングローブ林の4つの種類があり、これらをブルーカーボン生態系といいます。
人間にとってはワカメ、テングサ、ヒジキなど食用の海藻が育まれる場であり、
魚にとっては産卵や幼稚魚が育ち、小型のエビやカニといった餌の住む場でもあります。
そして、海藻(草)は、窒素やリンを吸収して水質浄化をするとともに、二酸化炭素を吸収するブルーカーボンの役割があります。
海藻を食べてしまう魚がいる
アイゴやクロダイ、メジナといった海藻(草)を食べてしまう魚もいます。
これらの海藻(草)を食べる魚は、季節によっては独特の臭みがあり食材としての利用価値が低いため、漁獲対象となっていない地域が多いのが現状です。
愛媛県海域では藻場の面積が約30年で65%減少(※愛媛県調査結果より)したという調査結果もあり、海藻(草)を食べる魚の食害によるブルーカーボン生態系の減少がひとつの問題となっています。
愛媛県漁業協同組合と
連携して
ブルーカーボンプロジェクト
を始動
当店では愛媛県漁業協同組合と共に、海藻を食べてしまう魚(未利用魚)を西京漬や塩麹漬に加工して美味しく食べることで、愛媛県の豊かな漁場を未来に引き継いでいくプロジェクトを始めました。
アイゴ・クロダイ・メジナの
3種類の魚を
西京漬けと塩麹漬けの
6種の組み合わせで
お楽しみください
今回、漁師に獲ってもらうのは「アイゴ(バリ)」「クロダイ(チヌ)」「メジナ(クロウオ)」の3種類の海藻(草)を食べてしまう魚です。味付けは西京漬けと塩麹漬けです。
どちらも素材の味を活かしたやさしい味付けでありながら、西京味噌と塩麹のマスキング効果により特有の臭いも軽減されて美味しく食べることができます。
愛媛県の中村知事も
美味しいと太鼓判
未来に繋がる取り組みとして
評価していただきました
2023年11月30日、愛媛県庁の中村時広知事を訪れ、愛媛の藻食魚の西京漬と塩麹漬セットの販売開始を報告しました。アイゴの西京漬けを試食されて、中村知事にも美味しいと太鼓判をもらいました。
また、「アイゴなど海藻を食べる魚に価値を付け、多くの方に食べていただけるようになれば、今後、漁師にとってもらえるようになり、結果、藻場が増え、本県の豊かな漁場が未来に引き継がれていくものと期待している。」と言葉をいただきました。
ブルーカーボンについて
もっと詳しく教えて
ブルーカーボンについて
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- ブルーカーボンとは
-
2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示されました。
ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれています。
(※参照元:国土交通省HP) - ブルーカーボンのメカニズムとは?
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ブルーカーボン生態系による隔離・貯留のメカニズムは、大気中のCO2が光合成によって浅海域に生息するブルーカーボン生態系に取り込まれ、CO2を有機物として隔離・貯留します。また、枯死したブルーカーボン生態系が海底に堆積するとともに、
底泥へ埋没し続けることにより、ブルーカーボンとしての炭素は蓄積されます。
岩礁に生育するコンブやワカメなどの海藻においては、葉状部が潮流の影響により外洋に流され、その後、水深が深い中深層に移送され、海藻が分解されながらも長期間、中深層などに留まることによって、ブルーカーボンとしての炭素は隔離・貯留されるという仕組みです。
(※参照元:国土交通省HP) - ブルーカーボン生態系による
CO2吸収量は? -
人間活動によるCO2排出量は炭素換算で年間94億トンで、ブルーカーボン生態系によるCO2吸収が約11億トンといわれています。
(※参照元:国土交通省HP) - アイゴの食害の実態とは?
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アイゴは季節には1日約37gの海藻を食べる(*)と言われており、それだけの藻場が失われている可能性があります。
食害生物を皆さんで食べることでCO2削減に役立つことが期待できます。
*参照元:藻食性魚類による大型褐藻類に対する食害の実態把握に関する研究(静岡県水産試験場伊豆分場)
文:植竹伸行(食文化)
撮影:八木澤芳彦