紀尾井町　福田家

冷凍とレトルトの２種類があります。

上品でなめらかなソースが秀逸です。

淡路島の玉ねぎとの出会いから生まれたという、紀尾井町 福田家オリジナルの和風デミグラスソースのハヤシライスです。 淡路産玉ねぎと牛テールを５時間以上じっくりと煮込み、２種類の味噌とたまり醤油、味醂をブレンドし、和のエッセンスを感じるコクの深いデミグラスソースに仕上げてあります。 福田家ならではの上質な食材と丁寧な調理による、上品でなめらかなソースと、旨み豊かな味わいが見事なハヤシライスです。

日山の黒毛和牛入りです。

具材には、日本橋人形町の老舗精肉店「日山」の黒毛和牛の肩肉を使っています。

新しい料理も楽しんでいただきたい。

「料亭は伝統的な日本料理をきちんと提供し続けることが基本です。 しかし、私は新しいメニューを開発して、お客様に変化も楽しんでいただきたいと思っています」と、福田貴之社長は語ります。今回のハヤシライスのような、従来の日本料理の枠には収まらない新メニューの開発を精力的に取り組もうとされているのです。 「知り合いの生産者さんが送ってくださった淡路産玉ねぎを食べたところ、たいへん美味しかったので、この玉ねぎを使って新しいメニューができないか、と思ったのがハヤシライス開発の出発点です」。 商品は、冷凍とレトルトがあります。冷凍（黒箱）はご自宅用に、レトルト（赤箱）は贈答用に最適です。

淡路島産の玉ねぎです。

ある日、角煮のソースにこの玉ねぎを使ってみたところ、和風のデミグラスソースのような素晴らしい味わいになったそうです。 「このソースを主役としたメニューを作りたい。このソースが活きるのはハヤシライスだ！と、直感が働き、方向性が決まりました。 淡路島の玉ねぎは、浜風にあたることでミネラルを多く含み、甘みが強い。セロリ、トマト、にんじんなどとともに丁寧に煮込むことで、自然の甘みを活かしたソースに仕上がりました。」

肉は試行錯誤しました。

福田社長は同時期に、日本橋人形町の老舗精肉店「日山」の社長と出会います。 「あの開発中のハヤシライスに日山さんの牛肉を入れたら美味しくなるに違いないと閃き、すぐに協力を依頼しました。最初は高級銘柄牛のロースなどを使いたいと思いましたが、ハヤシライスにすると脂が多すぎてしまう。ハヤシライスに合う牛肉の選定は難航し何度も試作を繰り返しました。やっと満足のいく仕上がりになったのが、黒毛和牛の肩肉でした」。 「日山」は、大正元年（1912年）に創業の、牛肉の卸売、精肉小売、すき焼き割烹を営む老舗です。

味噌は２種類使いました。

「味噌は、和の味わいを出し、うまみを出すために大切です。これまでもお付き合いのある京都「石野味噌」の白味噌と京桜味噌を2対1でブレンドしました。醤油はたまり醤油を使っています。コクの深い和風デミグラスソースに欠かせない存在です。

冷凍とレトルトをご用意しました。

「どちらも同じレシピで作ってあります。ただし、レトルトのほうは熱が多く入る分、少し酸味があって、さっぱりと食べられます」。 紀尾井町 福田家の四代目福田貴之社長が試行錯誤の上に完成させた自慢のハヤシライスは、一般的な濃厚な味とは一線を画す、老舗料亭だからこそ作れた上品で綺麗な旨味と、なめらかな舌ざわりが特徴です。
黒い箱が冷凍、赤い箱がレトルトになります。

文・小河原英二（食文化）
撮影・紀尾井町 福田家