西麻布の繁盛店「鮨十(すしとう)」の職人が作る土用の丑の日のメニューは
江戸前の代表的なネタのひとつ穴子をふんわりと煮た穴子鮨です。
白米ではなく赤酢のシャリで食べるスタイルは鮨屋ならではです。
シャリには特製のガリも混ぜ込んであります。
しっかりと食べるなら2人前、他の料理と一緒に食べる場合は3〜4人前くらいの量があります。
今年の猛暑を乗り切るためにも、穴子を美味しく食べて元気になっていただきたいです。
脂の乗った特大穴子を
大量に煮込む!
身はふんわり、
煮汁を吸ってうまくなる
穴子は長崎県産の品質がよく脂の乗ったものを
厳選しています。
鮨十では握りを提供する際に原魚で
120g前後を使っていますが、
今回は約4倍もある500gUPの特大サイズです。
身が肉厚でずっしりと重みがあります。
サイズが大きいため、約2ミリ間隔で骨切りもしています。
こうすることで口の中で骨を感じさせず、中まで味を含んで食べていただけます。
穴子は頭と骨を焼いて臭みを抜き、身はボイルして表面のぬめりを取り除きます。
醤油、煮切り酒、ザラメで作った特製の煮汁に下処理をした穴子を入れて、
ゆらゆらと優しく火を入れながら煮込みます。
煮汁がしっかりと染み込んでいます。
サッと焼き目をつけて香ばしく仕上げます。
穴子エキスが溶けだした
煮汁は旨味の宝庫
10時間かけて煮詰めた
濃厚な甘ダレ
穴子を引き上げた後の煮汁は旨味の宝庫。
とろみが出るまで10時間ほどコトコト煮詰めます。
鮨屋で穴子に刷毛で塗る甘ダレ(煮ツメ)はこうして完成します。
美味しく
召し上がるためのポイント
穴子とシャリを小皿に取り分けてラップをかけ、
電子レンジで500W・30秒程度(人肌が目安)温めてから召し上がっていただきたいのです。
作りたての美味しさを味わうための大事なひと手間です。
甘ダレ(煮ツメ)を穴子に塗って、青柚子の皮はお好みで散らしてお召し上がりください。
自家製のガリも箸休めにどうぞ。
当店のお客様よりご好評頂いてる煮穴子を、大き目のサイズにてお重に致しました。
江戸前の代表的なネタで、お店の個性がより強く出るネタです。
お鮨は色々な味を少しずつ食べられるのが良いと思っておりますが、
個人的にも穴子は大好きなネタで、穴子でお腹を一杯にしたい、また、骨切りをすることで、食べやすく中までしっかりタレを含ませたものを、食べていただきたいと想いから作らせて頂きました。
花板 瓜生喜章
文:植竹伸行
写真:八木澤芳彦