芝浜「芝海老の酒出しの玉子焼き」
江戸前 芝浜
これぞ江戸料理の花形!
芝海老の
酒出しの玉子焼き
一本の玉子焼きに日本酒を7合以上1300㎖も使います。
第2弾は、お酒をグレードアップしました。
東京の名酒「金婚」の純米です。
芝海老の香りと、
より深まった酒の旨み!
江戸料理の伝統技法「酒出し(さかだし)」を使った玉子焼きです。砂糖を使わず、酒の甘みと芝海老の風味で楽しむ、大人の酒肴です。 今回は、使用する日本酒を金婚の上撰(本醸造酒)から純米酒にグレードアップしました。酒のもつ力強さを、より感じます。余韻は豊かで、キレがよくなりました。酒質を変えるだけで料理の印象が変わります。
芝海老は
江戸を代表する食材。
芝海老は、天ぷら、海老しんじょう、から煎り、塩煮、芝海老豆腐などで楽しまれてきた、江戸を代表する食材の一つです。
使う酒は東京の銘酒「金婚」です。
神田の地で約430年もの歴史をもつ酒舗「豊島屋」が、明治天皇の銀婚式をお祝いする願いを込めて命名した酒が「金婚」です。今回は、その純米を使います。
うまいもん筆頭目利き人
町田 成一より
店主の海原大さんは、1979年、品川生まれの品川育ち。
近年、dancyu誌などにもしばしば登場する気鋭の料理人です。
江戸料理に魅せられた海原さんは、自ら文献をひもとき、
江戸食文化研究家の方々の協力も得て、美味しい江戸料理を現代に蘇らせています。
その大人気料理の一つが、芝海老の酒出しの玉子焼きです。
「酒出し」という伝統の技法を使った、実に奥深い味わいをもつ料理です。
材料は潔く、卵、芝海老、日本酒、塩だけ。砂糖やみりんを使わずに、日本酒のもつ甘みと旨みで深い味わいをつくり上げます。
江戸の粋を、贅沢にお楽しみください。
酒出しづくりから始まります。
今回の玉子焼きは、卵10個です。
材料は、卵10個(小川フェニックス鳳凰卵や茨城の奥久慈卵など)、芝海老むき身130g(この日は有明海産25尾分)、金婚純米1300㎖、天日塩3g、ほかに米油適量です。
江戸を感じる日本酒を使います。
美味しい日本酒を惜しげもなく注ぎ入れます。金婚純米は、味わいは華やかで力強く、余韻は穏やかに引いていく。江戸の粋を感じるお酒です。写真は上撰です。
たっぷりの芝海老です。
10分ほど沸騰させてアルコール分を飛ばしたら芝海老を入れます。
品のある出しをとります。
ここからは弱火で3分。芝海老の風味を、品よく引き出します。煮すぎると雑味が出るため、芝海老は取り出します。
200㎖になるまで煮詰めます。
江戸時代に使用されていた「酒出し」は、酒を煮立たせてアルコール臭を除き、鰹節などを加えたものを調味料として用いられていたと、江戸時代の料理書に記されています。
当時は万能調味料のように使われており、現代のみりんのような役割をしていました。
海原さんは、1300㎖の日本酒を、なんと200㎖になるまで20分かけて煮詰めることで、甘みと深みを出します
。
重厚な玉子焼き鍋で焼き上げます。
美しい卵です。
酒出しが冷めたら、卵を溶いて合わせます。
鍋は重厚な玉子焼き鍋です。
江戸料理研究家としても名高い、元「なべ家」の福田浩さんから預かっているという銀製の玉子焼き鍋で一本ずつ焼き上げます。
1日3本が限界です。
鍋は、持たせていただきましたが、片手では30秒も持っていられないほどずっしり。3kgはあります。そのため、1日3本限定になります。
江戸は、とら焼きです。
見事な焼き上がりです。これを丸ごと1本お送りします。江戸の玉子焼きは、焦げ目をつける、いわゆる「とら焼き」です。
日本酒と共に楽しんでください。
芝海老の強い風味が鼻から抜けます。それを生かすなら酒は、ひや(常温)か燗がおすすめです。
大人の玉子サンドで〆てください。
卵10個分の玉子焼きなので、食べごたえは満点です。食パンをご用意いただき、お酒の〆として玉子サンドでお楽しみください。試食した感想は、パンにバターやマヨネーズは不要、です。もちろんお好みですが。
文・大村花恵(食文化)
撮影・公文美和
海原大さんは、2016年芝公園に「太華」をオープン。2021年6月に「江戸前 芝浜」と店名を変えて移転開店しました。
海原さんが若いときに食べて衝撃を受けるほど美味しいと感銘した芝海老を、自分のメニューに取り入れたいと試行錯誤し考案したうちの一つが今回の玉子焼きです。ほかに、芝海老しんじょう汁など、芝海老の料理がいろいろ楽しめます。
落ち着いた雰囲気の店内には、「江戸料理番付」が飾られるなど、江戸時代にこだわったお店づくりをされています。江戸料理がいろいろと楽しめます。
江戸前芝浜
東京都港区芝2-22-23
TEL 03-3453-6888
休み 木曜日 ※日曜日営業
営業時間 17:00-23:30