JA京都やましろの朝掘り
「白子たけのこ」
京都山城地域は、旧国名「山城国」のうち、京都市をのぞく京都の南部地域(宇治市、長岡京市ほか10市町村)を指す。食用たけのこの代表品種「孟宗竹」が中国から伝来した地域の一つとされる古くからの産地だ。気候条件、土壌、生産者の長年の経験が揃った名産地で育つ「白子たけのこ」の収穫が3月中旬から本格化する。
産地、そして豊洲市場セリ人がプライドをかけて届ける旬の「白子たけのこ」をぜひ楽しんでほしい。
「京のたけのこ」
と言えば白子(しろこ)
「京たけのこ」のなかでも、通称「白子(しろこ)たけのこ」と呼ばれる特別なたけのこがある。「白子たけのこ(以下、白子)」は、外皮が色白で、えぐみが少なく肉厚で柔らかいのが特徴で市場でも高く評価される。
白子たけのこは、掘りたてなら生のまま刺身にして食べられるため、「たけのこはアク抜きが面倒」という固定概念を見事に覆す驚きのたけのこだ。
たけのこ収穫量は全国3位(※)と九州勢に圧される京都ではあるが、高級品として全国から引き合いになるブランドを支えるのが「白子たけのこ」である。
※令和3年特用林産物生産統計調査
白子の収穫は
夜明け前が勝負
たけのこは、竹の地下茎の節に芽吹く若芽で、土から芽を出し若竹に成長する。
その成長は驚くほど早く、孟宗竹で1日1メートル以上伸びたと記録があるほど、地下茎で芽を出してから数カ月で若竹になる生命力あふれる植物だ。
白子は、3〜5月頃、地下茎の芽が土から出る直前に収穫される。これが、白子特有の上品な色合いと、えぐみの少ない味の決め手となる。たけのこは日光に晒されると、皮が茶色く、緑色に変化し竹へと成長が進み、えぐみの主な原因であるシュウ酸を生成し始めるためだ。
たけのこの芽が地表に出るころは1日に数センチの勢いで成長するため、生産者にとっては、収穫のタイミングが正念場。収穫時期は毎日畑を観察し、表面のヒビを見つけ、「ほり」を片手に畑へ入り、夜明け前に収穫するのだ。
竹林の手入れに休みはない
話は前後するが、収穫が正念場と言うものの、その勝負は前年から始まっている。
古竹の伐採や、親竹の手入れで日当たりの良い竹林を作り、ふかふかの土壌をつくる。親竹が揺れるのを少なくすることで、地下茎の損傷も防いでくれるのだ。
さらに秋から冬にかけて竹林に土や藁を入れ、粘土質の土壌の保水保温効果を高めることで、柔らかいたけのこを育てる。また、この客土が冬の寒さからたけのこを守り、日光を遮る役割も果たしている。柔らかな客土が盛り上がり、ヒビが出てきたら収穫の合図、いよいよその瞬間が訪れるのだ。
JA京都やましろ
「京たけのこ部会」が育てる
最高の白子をお届けします
平成28年にJA京都やましろで「京たけのこ部会」が設立され、「高品質な京都の白子たけのこを首都圏に届ける」取り組みが始まった。
部会が出荷するのは、穂先が地面に出る前の白子が絶対条件。その気概に共鳴した豊洲セリ人、仲卸がタッグを組み、美しく鮮度抜群の白子を届けてくれる。
セリ人は、入荷された白子を生産者ごとに検品し、目線に合わないものには産地へ注文をつける。さらに、老舗仲卸の二重の目利きが入り、ブランドに恥じない品物に仕立てる。
この緊張感ある関係こそが、品質高く安定的に届け、ブランドを守ることにつながる。産地直送では実現しない、市場の目利きが入るからこその仕組みだ。
豊洲市場に入荷後、遅くとも翌日(一部は当日)には出荷するため鮮度は抜群だ。
あく抜きで火を通しすぎると、せっかくの風味が薄れてしまうので、気を付けたい。
加熱せず、大根のしぼり汁に水を足し1%の塩を加え、一晩漬ける方法も試してみたくなるたけのこだ。さっと洗って使ってほしい。