約半世紀分の鯖の髄が溶け込む
茨城県波崎『越田商店』の
究極のつけ汁
越田商店の鯖
究極の干物
創業は昭和22年、銚子港にほど近い、茨城県波崎で半世紀続く干物屋です。今は越田英之さんが3代目を務め、鯖の干物が主力商品です。【もの凄い鯖】との異名を持つ越田の鯖。知る人ぞ知るこの鯖の干物は多くの飲食店から引き合いがあるのです。食べたらやっぱり凄かった!
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さばく枚数なんと1日2000枚。
匠の技で骨際ギリギリを狙う!
越田商店ではすべて手作業で鯖をおろします。 機械を使うと、背骨周りが削られてしまいますが、手でおろせば、真ん中の骨しか残らないので歩留まりも良いです。 もうひとつの大切な理由、それは、手でさばくと身に点々と残る骨の髄にあります。この髄は、例えば鯖を1日2000枚おろしたら、どんぶり1杯程度とれます。 その髄が半世紀分、特製のつけ汁の中に溶け込んでいるのです。
約半世紀、注ぎ足し続けたつけ汁
酵母菌や乳酸菌がたっぷり!
つけ汁はまさに越田の命。これ以上塩が溶けない”飽和状態”なのに、舐めると甘く感じるほど旨みが詰まっています。48種もの酵母菌や乳酸菌、日本に居ないはずの菌などが住みつき独自の生態系を構築していることがわかっています。
当初、液体ではなく鯖を塩につける工程で、鯖のエキスが溶け込み、塩が液状になり、次第につけ汁へと変化しました。このつけ汁に漬けると旨味成分がぐっと増えます。つけ汁をなめてみると甘く感じるほどです。
このように古い製法で鯖の干物を作っている生産者はおそらく越田商店だけでしょう。
一般的に干物は焼くと縮みますが、
越田の鯖はしっとりふっくらジューシーに仕上がります。
干し時間は20分にしました。
干物は天日干しでイノシン酸を増やしますが、
越田では漬け汁が代役を果たすので、塩味を入れるために少々干すのみで、
天日干しはほぼ必要ありません。
干物としてだけでなく、ニシンそばならぬ、鯖そばにしたり、
薄くスライスして味噌と牛乳ベースの鯖鍋にしたり、
アヒージョなどでも楽しんでみてください。