Jam工房Eiko
名店の味 Jam工房Eiko
ぶどうの鮮烈な風味に
魅了されます
大庭英子さんの
「ぶどうジャム ベリーA」
日本の赤ワイン用ぶどうを代表するマスカット・ベリーAでつくったジャムです。
華やかな余韻が続きます。
ひと口食べると、華やかな風味と、甘美な余韻の長さに驚きます。皮、種、果肉のすべてから、ぶどう本来の風味を余すことなく引き出し、結集させた完璧な味わいです。
その美味しさのわけは、ぶどう選びにあります。「酸味と香りを兼ね備えた昔ながらの種のある、小粒のぶどうでつくると、風味豊かな美味しいジャムになります」と、大庭英子さんは語ります。
山梨県産のベリーAです。
正式名称はマスカット・ベーリーA。新潟県が原産の日本固有の品種です。日本ワインの父と呼ばれる川上善兵衛氏が苦労の末、改良に成功したぶどうです。赤ワインはもちろん、ロゼやスパークリングにも使われ、その評価は世界でも高まる一方です。特徴は、風味がよく、甘みが強く、ほどよい酸味もあること。加えて、粒の大きさが5〜7gと小ぶりなことから、ぶどうの風味が強い皮が多いことです。大庭英子さんはジャムの材料として、これを選びました。ワインとジャム、形は異なりますが目指すクオリティは同じだからです。
今回は、大庭英子さん自らが山梨の農園まで足を運び、目利きして入手。ジャムづくりに注ぐ熱い思いが伝わってきます。
クリームチーズとともに。
ブリオッシュをトーストし、クリームチーズととともに楽しみたくなるような、鮮烈な風味をもつジャムです。もちろん、シンプルにヨーグルトでお楽しみいただけます。画像は、出来立てのジャムを使ったため、ジャムがかたまっていない状態です。
ぶどうジャムの魅力に
迫ります。
ぶどうを洗います。
ぶどうを房から外しながら洗います。洗い終わったらざるに上げて水を切ります。
手で潰します。
ぶどうの実と皮をバラバラにするため、手でしっかりと潰します。果汁がたっぷり出てきました。
ぶどうを煮ます。
そのまま20分ほど煮ます。「一度煮ることで、種や皮に含まれる香りやエキスを引き出して、果肉を柔らかくします。」と、大庭英子さん。
裏漉して果汁を搾ります。
アクを取りながら20分ほど煮たぶどうは、ざるに上げて漉します。実をつぶしながら、皮と種を取り除きます。「ミキサーだと種が潰れたり、細かくなった皮の舌ざわりがよくないので、漉すことが大切です」と、大庭英子さん。美味しいジャムのために妥協はしません。
煮詰めていきます。
ぶどう汁の重量の約40%のグラニュー糖を加えて煮ます。ぶどうはペクチンが少ないため、長く煮なければなりません。鍋につきっきりで約30分かけて煮ます。量が2/3ほどに煮詰まったら、レモン果汁を入れます。濃厚な甘い香りがしてきました。とろみがついたら煮上がりです。
熱いうちに瓶に詰めます。
煮沸した瓶に、出来たて熱々のジャムを詰めます。冷めるととろみとジャムの色の美しさが増します。脱気のため、ジャムが入った瓶を熱湯で10分ほど湯煎にして完成です。
豆乳と合わせてドリンクにも!
朝の一杯にいかがでしょうか。お好みの無調整豆乳にぶどうのジャムをスプーン山盛りひとさじ入れて混ぜるだけで、爽やかな飲み物が出来上がります。
正統派ジャムをお楽しみ
ください。
ジャムをつくり続けて30年余。料理研究家歴40年の大庭英子さんが自ら厨房でつくる、季節の素材を使ったジャムをお届けしています。9月は、ベリーAのほかに、熊本県産の「栗のジャム」、愛知県産の「いちじくのジャム」もあります。
大庭英子さんのジャムは、いわゆる甘さ控えめのジャムではありません。「ジャムは、しっかりと甘くすることで自然なとろみが出ます。そして、凝縮感のある濃厚な香りと味わいになります。これがジャムのおいしさです」と、大庭英子さんは力強く語ります。まさに本物。今や希少な正統派のジャムです。現状、当サイトだけで販売しています。
文・林麻実
撮影・天方晴子